「これで救われる」
そう思った瞬間のことを、今でも鮮明に覚えています。
おしゃれな青山のオフィスの壁一面に広がる、真っ白なホワイトボード。 そこには、私のお店「ラフルール」のことが、矢印やら図やらでびっしりと書き込まれていました。
「このブランディング会社なら、きっと変えてくれる」
あの頃の私は、そう信じて疑いませんでした。

かっこいいロゴさえあれば、花が売れると思っていた
花屋を経営しながら、ずっと苦しかった時期があります。 売上は伸びない。資金は減っていく。なのに、周りには素敵なお花屋さんがたくさんある。
私のお店に足りないのは、「ブランドイメージ」だ。
そう結論づけた私がやろうとしたのは——素敵なロゴマークをつくること。センスのいいショップカードをつくること。おしゃれなホームページをつくること。
「これができれば、センスのいい花屋だと認められる。そうすれば、きっと花が売れる」
そのために、ブランディングを専門とする会社に相談しました。 あらゆる企業のブランドを手がけてきた、実績のある会社です。 初めての打ち合わせの日。訪れたそのオフィスの壁いっぱいのホワイトボードに私のお店のことが整理されていく。
これだ。これが答えだ。
経営の苦しさから「救われる」——そんな気持ちで、その会社のオフィスをあとにしたのを覚えています。

助成金が、通らなかった
もともと、このブランディングの外注費用は助成金が通ることを前提にしていました。 でも、助成金の審査結果は「不採択」。
それでも、打ち合わせをすでに重ねていた私は、その費用を払いました。 ただでさえ少なかった手元の資金から。 最後に残っていたお金を。
そのとき初めて、足が止まりました。 「救われる」と思っていたのに、気がつけばもっと苦しい場所に立っていた。
今思い出してみても、あの頃の私、ほんとに可哀そうすぎる。。。(笑)
本当のブランディングを教えてくれた、一言
しばらくして、経営者の勉強会でオーガニック製品の会社を経営する方とお話しする機会がありました。その方は有名なブランドを自ら育ててきた、本物の経営者です。
この話をすると、こう言われました。
「ブランディングって、ロゴやショップカードをつくることじゃないよ。お客様との接点を、ひとつひとつ磨いていくことだよ」
たとえば—— 店内をいつも清潔にしておくこと。 トイレをピカピカにしておくこと。 お客様をいつも笑顔で迎えること。
そういう、一見地味に見えることの積み重ねが、ブランドになっていく。
聞いたとき、頭を殴られたような感覚がしました。
私は、ずっと勘違いしていたんだ。
かっこいいロゴがなくても、お客様が「また来たい」と思えるお店は、ブランドになります。高いお金をかけてHPを作らなくても(そもそも今の時代はもう自分でHPを作れる時代になりましたね)、あなたの笑顔や気遣いを覚えてくれたお客様が、誰かに話してくれる。それがブランドです。
逆に言えば——どんなに素敵なロゴがあっても、接客が冷たければ、店内が乱れていれば、気持ちがこもっていなければお客様の心には何も残らない。
花屋の「ブランド」は、手元にある
この気づきは、私の花屋経営を根本から変えました。
お金をかけて何かを「作る」前に、今あるお客様との接点を見直す。 毎日の花の品質管理や並べ方、包み方、言葉の選び方、店内の空気感。 そういうところに、ブランドの種は宿っていたのです。
そしてそれは——花仕事に携わるすべての人が、今日からできることでもあります。
ラフルールが全国で開催している花束やアレンジの「テクニック」を磨くスキルアップ実践講座の終わりに参加者の皆さんに必ずお伝えしていることがあります。
「今日学んだプロとしてのテクニックを磨くことはもちろん大事。だけどそれ以上に忘れていけないのは心を込めて仕事をすること。それは本当にお客様にちゃんと伝わるから。」
花仕事カレッジで学ぶということ
私が花仕事カレッジをつくったのは、かつての私のように遠回りしてほしくないからです。
「センスのいい花屋になりたい」 「花で人を幸せにしたい」 「花の仕事で、ちゃんと生きていきたい」
そう思っている方に、技術だけでなく、経営の本質を伝えたい。 お客様に選ばれるお店をつくるために本当に必要なことを一緒に考えていきたい。
ロゴやHPより先に、磨くべきものがある。 それを知っているだけで、あなたの花屋は変わります。
花仕事カレッジでは、私の失敗も、気づきも、すべてお伝えしています。 ぜひ一度、のぞいてみてください。

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