花屋開業に必要な資金はいくら?倉庫を使った花屋&お花教室のリアルな内訳

花屋開業資金 花屋の始め方

「花屋を開業したい。でも、いくら用意すればいいのか分からない」

そう思って検索している人の多くは、路面店を借りて、内装をきちんと作って……という「王道」の開業スタイルを思い浮かべていると思います。もちろんそれも一つの正解です。でも私は、横浜市金沢区で身内が持つ倉庫を借りて花屋とお花教室を始めました。路面店とは違うやり方だったからこそ、初期費用をかなり抑えられましたし、今も無理なく運営できています。

倉庫を利用した花屋開業
倉庫に作ったお店

この記事では、まず一般的な花屋開業の資金相場を押さえたうえで、私が実際にどこにお金をかけ、どこをかけなかったのか、倉庫を使った開業のリアルな内訳を公開します。

目次

一般的な花屋開業に必要な資金の相場

花屋を開業する場合、大きく分けて次のような費用がかかります。

  • 物件取得費(保証金・敷金・礼金など)
  • 内装工事費
  • 什器・設備費(冷蔵ケース、作業台など)
  • 初期仕入れ・在庫費
  • 広告宣伝費
  • 運転資金

物件費の目安として、私の地元・横浜市金沢区の貸店舗・貸事務所の相場を調べたところ、坪単価8,000円〜12,000円、広さは8坪〜18坪あたりが一つの目安になっていました。仮に10坪・坪単価10,000円なら家賃だけで月10万円、これに保証金や礼金が加わります。路面店で内装からしっかり作る場合、ここに数十万円〜100万円以上の内装工事費が乗ってきますね。

実際、私自身も2003年の創業時は住宅街の貸店舗1階を借りて、「花屋&カフェ」を始めました。18坪・坪単価1万円で家賃18万円、保証金10か月分、礼金1か月分。当時はカフェの方が面積の比重が大きい業態でした。路面店を借りるとなると、家賃だけでこの規模感になり、保証金も家賃の何か月分とまとまった金額が最初に必要になります。

花屋カフェ
最初に作ったお店 花屋&カフェ

ここまでが「一般的なライン」、そして私自身が最初に経験した路面店開業のリアルな数字です。ここから先は、この路面店スタイルから一転、倉庫という条件を使ってどう金額を圧縮したかの話になります。

倉庫だからできた「低コスト内装」

私の場合、身内が持つ倉庫を安く借りているので、家賃自体は上の相場には当てはまりません。ただ、倉庫を使うという選択そのものは、身内の物件でなくても応用できる考え方だと思っています。

内装にかけたお金は、正直に言うとほとんどありません。やったことは、突っ張り棒とIKEAの白いカーテンを壁面に取り付けただけです。カーテンは1組2,500円程度のものを8組使いました。バックヤードとの仕切り用には、少し厚手のカーテン(5,000円程度)を、これも突っ張り棒でかけただけ。

倉庫で花屋開業
壁は白いカーテン。正面奥のバックヤードの仕切りは厚手のグレーのカーテン

倉庫は天井が高い分、冷房が効きにくいという問題がありました。これは天井にもカーテン幕を張ることで対応しています。このカーテン代が2,500円のものを3組。

ざっと計算すると、内装にかけたのはカーテン代だけで3万円台。壁を壊したり床を張り替えたりする工事は一切していません。「倉庫だから何もしなくていい」のではなく、「カーテンで空間を区切る」という発想があれば、内装工事費はここまで抑えられる、という一つの実例です。

ただし、カーテンでほぼゼロ円に抑えられたのはあくまで「空間の区切り方」の部分です。照明用の配線ダクト(ライティングレール)工事だけは電気工事業者に依頼し、約20万円(税込199,760円)かかりました。

「照明とレールをつけるだけで20万円?ちょっと高くない?」と思う方もいるかもしれません。実際、LED照明の器具そのものだけを買うなら、数千円〜数万円で手に入ります。でも私が借りたのは、何もない「箱」としての倉庫でした。だから今回の工事には、こんな作業が含まれていました。

  • 既存の古い照明・配線の撤去
  • 天井に配線ダクト(ライティングレール)を安全に固定するための下地工事
  • 配線ダクト本体の設置と、そこに電気を通す配線工事
  • LED照明を実際に使える状態にするための取り付け作業

つまり「器具代」ではなく「倉庫という何もない空間で照明を使えるようにする工事一式」の費用です。しかもこの部分は資格を持った電気工事士に依頼しないといけません。照明が見た目にはシンプルでも、電気配線は素人が触っていい場所ではないので、ここだけは専門家にお願いする必要があります。

内装はカーテンで安く抑えられても、照明まわりだけは別。倉庫を選ぶなら、「電気工事費は必ずかかるもの」として、資金計画にあらかじめ入れておくことをおすすめします。

什器・設備は「あるものを使う」発想

什器も新品を揃えたわけではありません。もともとカフェの営業で使っていたテーブルをそのまま使っています。

花屋独立 お花屋さんの経営
カフェの頃のテーブルをそのまま利用

最初は4人掛けテーブル1台で、教室のレッスンもお花の作業もすべてそこでこなし、事務作業用に2人掛けテーブルを1台足しただけでスタートしました。什器の新規購入費は実質ゼロ円です。

生徒さんが増えてきてから、バックヤードのスペースを少しずつ後ろに下げて売り場と教室スペースを広げ、そのタイミングで4人掛けテーブルを追加していきました。全て、カフェで使っていたテーブルです。つまり設備投資は「開業時に全部揃える」のではなく、「必要になったら増やす」というタイミングで行いました。これは初期資金を抑えるうえでかなり効いています。

売り場を狭く始めることのメリット

最初は売り場をなるべく狭く始めることをお勧めします。理由は狭いスペースに段差を付けてお花を陳列することで売り場が充実しているように見えるからです。広い売り場にしてしまうと、その空間を魅力的にするため無理して多くの花や雑貨を仕入れて並べることになります。そうしないと、スカスカに見えてしまうからです。いいことは一つもありません。
またその分、バックヤードは広く使います。花屋の使用する資材はオアシス、段ボール、ラッピング資材など多く、バックヤードが広ければ保管もしやすいです。

仕入れ・在庫費用――予約制のメリットと今のジレンマ

開業当初は完全に事前予約制で、フラワーギフトと教室で使う花しか仕入れていませんでした。注文が入った分だけ仕入れるので、ロスがほとんどなく、利益体質の経営ができていました。

ただ、これは今のフェーズでは少し変わってきています。生徒さんもお客様も増え、Instagramで発信している「お花がたくさん並ぶ店内」のイメージを崩したくないこと、来店される方が「わあ」と感じる気持ちを大切にしたいこと、そしてお花教室の中級以上の生徒さんには自分でたくさんの花から選んでもらいたいという気持ちもあり、今は在庫を多めに持つようにしています。その分、仕入れは増え、以前より廃棄も増えました。

ここは正直、悩ましいところです。「見た目・体験の質」と「ロス・利益率」のバランスは、事業が成長するほど向き合うことになる問題だと思います。これから開業する人にも、「予約制で始めて、成長に応じて在庫戦略を見直す」という流れは参考にしてもらえるはずです。

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ラフルールのお花教室は中級クラスから自分でお花を選びます

集客・広告費――SNSから始めて、必要な分だけ広告に投資

開業時に広告費はかけていません。やっていたのはInstagramでの発信だけです。

今は教室運営のためにInstagram広告をよく使っています。一方、Instagram以外のネット広告や駅や公共施設でのチラシ設置、イベント出店でのチラシ配布などは、費用対効果が測りずらい、または感じられなかったので、それぞれ1年ほど試して撤退しました。

開業初期から広告費を大きく積む必要はない、というのが私の実感です。まずはSNSで無料の発信を積み重ね、事業が育ってきたタイミングで、成果の見えやすい媒体に絞って広告費を投じる。この順番が資金効率としては無理がありません。

その点、Instagram広告は花屋との相性が良いという点と、1日いくらの費用にするか数百円から指定できるので、リスクが小さく試しやすくてお勧めです。

運転資金は最低半年、理想はもっと多く

運転資金は多ければ多いほどいい、というのが正直な答えです。最低でも半年分は用意しておいた方がいいと思います。何か施策を打ってもすぐに成果に結びつくとは限りませんし、認知されるまでには時間がかかるからです。

そのうえで、私がおすすめしたい開業月は10月です。理由は、レッスンの予約導線を組みやすいからです。

  • 10月:クリスマスレッスンの集客を開始
  • 11月:リースレッスン、スワッグレッスンなどクリスマス関連レッスンを実施。ここで出会ったお客様・生徒さんに
  • 12月:生花のクリスマスアレンジ、キャンドルアレンジ、お正月飾りレッスンを続けて提案
  • 1月:ここまでの関係性をもとに、通常のお花教室(バックエンド商品)へ誘導

このように、季節のイベントを入り口にして年末年始で関係性を作り、1月から通常運営に自然につなげる。この流れがあると、運転資金を無駄な集客コストに使わずに済みます。

資格は必要ない

花屋を開業するのに、必須の資格はありません。フラワー装飾技能士やフラワーデザイナーの資格があると有利になる場面もあかもしれませんが、なくても花屋は始められます。資金を考えるうえで、資格取得費用を必須項目として組み込む必要はありません。

ラフルールが運営している「花仕事カレッジ」は花屋での修行をしなくても、資格を取らなくても、花屋を開業するために必要な経営のノウハウや業務スキルの育成など、必要なことだけを習得するメニューを用意しています。参考になさってください。

まとめ

花屋開業の資金は、路面店を前提にすると数百万円単位になることも珍しくありません。ただ、倉庫という選択肢を使い、内装は突っ張り棒とカーテンで、什器はあるものを使い、仕入れは予約制からスタートすれば、初期費用は大きく圧縮できます。そのぶん、運転資金に厚みを持たせて、10月開業からの季節レッスンの流れで無理なく軌道に乗せる。これが、私が実際にやってきた花屋開業のリアルな資金の使い方です。

花屋開業やお花教室の開業について、もっと具体的に相談したい方は、花仕事カレッジで実践的なノウハウをお伝えしています。

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